与崎がいなくなった部屋の中で、美弥は自分に誓ったはずだ。
このままでは終わらせない、と。
しかし時間が経つにつれて、美弥の熱意はだんだん冷めていった。
いや、熱意はあるが、何も考えが浮かばなくて憔悴してしまったと言った方が適当か。
……与崎を取り返す手段が思い付かない。
「お願い、与崎を返して」
美弥はあの後、父の部屋の全身鏡とカーテンの残りを使って灰田を呼び出し、何度も何度もそう頼んだ。
しかし灰田はのらりくらり躱すばかりで、まともに取り合ってくれない。
「無理だよ。そもそも、ひ……よざき先輩の方から引き継ぎのお願いがあったんだからさ」
灰田は長く息を吐き、じろっとベールの奥から美弥を見る。
「美弥ちゃんの願いって復讐でしょ? 僕だってそのくらい叶えられるけど」
「違う、あんたに殺してもらいたいわけじゃない。私が自分の手で殺してやるの」
美弥が必死に訴えても、灰田は「ふーん」とどこ吹く風といった態度を貫いている。

