落ちこぼれ悪魔の扱い方

「美弥ちゃん……。どうして何も言ってくれないの?」


何か言う気力がないから。


そう言おうと思ったが、乾いた口の中でざらついた舌がから回るだけだった。


チャイムが鳴り、担任の先生が教室に入ってくる。

「おはよう……ございます」

その快活な声は、美弥と視線がかち合うと尻すぼみに小さくなってしまう。

すっかり問題児だな、と美弥はぼんやり思った。


咲子は未練がましく美弥を見ていたが、他の生徒が席に戻り始めたのを見てとぼとぼ美弥の席を去っていった。


ホームルームが始まったが、先生からの連絡事項は当然耳に入らない。

美弥は行き場を失くした視線を窓際へと移す。


土気色の顔をした死人のような顔の女が、落ち窪んだ眼窩の中から微妙に焦点の合わない黒目をこちらに向けていた。


ゾンビ映画のゾンビ役で、オーディション受けてみようかな。


大して面白味もないはずなのに、美弥は妙に可笑しくなる。

フッと歪んだ微笑をこぼすと、隣の席の男子は見てはいけないものを見てしまったかのように顔を逸らした。