何としてでも、この子を幸せにしてみせる。
そして解放されてやる。
そう意気込んでいたからこそ、美弥の本心を知ったときの絶望は大きかったのだ。
しかしそのことをあまり引きずるつもりはない。
美弥が自分のために復讐するというのも無理はない話だった。
海での一件から、与崎は「ああ、これは父親のことなんて考える余裕ねえな」と理解した。
……あの教団は、本気で美弥のことを殺しにきているのだ。
その後過呼吸だの何だのがあって、美弥の方も父のことについて考えを改めるようになってきたようだ。
しかし結局、『自分よりも父の方が大切』と思うほどの愛情はなかったらしい。
相変わらず美弥は、自分のために復讐を願っている。
与崎はここまで考えて、ふと気付いた。
俺もしかして、美弥を解放のための道具だと思ってたのか?
依頼人をモノとして見ている。
その可能性に思い至ったとき、与崎は戦慄した。
灰田に偉そうなことを言えた立場じゃなかった。
与崎だって、自分が罪を償うべき存在だということを失念していたのかもしれないのに。

