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思えば、それが執着の原因だった。
高坂の言葉を契機として、与崎の依頼人に対する態度は大いに変わってしまったのだ。
与崎は依頼人に出会う度に、『自分以外の誰かのために願いを使ってみないか』と提案するようになった。
「自分のために願いを使っても、きっと永遠に満足することはない。人間の欲ってのは、自覚しているよりももっと底なしだからな」
「俺はそういう人間を山ほど見てきた。だからお前も、俺の言う通りにした方がいいぞ」
ときには今までの依頼人を引き合いに出して説得し、懇願し、土下座でも何でもする勢いで頼み込む。
もちろん、上手くいくはずがなかった。
どの依頼人もうるさそうに顔をしかめ、詐欺師でも見るような視線を与崎に注ぐ。
「もういいから、帰って。悪魔なんて呼び出すんじゃなかった」
そう言われたことも、一度や二度では済まない。
上からもお叱りを受けた。
「鈴沢ひとみ。君は何か、勘違いをしているようだね」
『25』と名札を付けた上が、咎めるような口調で言う。
場所は例の懺悔室だ。

