落ちこぼれ悪魔の扱い方


「アンリ先輩。お疲れ様した」

そう言って歩み寄ってきた灰田は、花束を高坂に差し出す。


高坂は困惑したように薔薇と灰田の顔を交互に見ていたが、「あ、ありがとう」と花束を受け取った。


「花束なんて、どこで買ったの?」

「依頼人に呼び出されたついでに、花屋で。……あ、ベールはちゃんと付けてましたよ?」

灰田は慌てて後ろを振り返り、上に言う。

上は「よろしい」と重々しく光球を動かして頷いた。

「ベールを外して人間界を出歩いたら、懲罰対象になるからね」

「分かってますって」

上司に対しても灰田は砕けた口調だった。


「お金はどうしたのよ?」

高坂が不思議そうに尋ねると、灰田は「それはまあ、なんつーか」と言いにくそうに頭を掻く。

「有志の方からの出資っす。無理強いはしてませんから」

「さては、依頼人から巻き上げたわね。これは違反じゃないんですか?」

上はしばし黙った後、「まあ認めよう」と寛容に呟いた。

「上もこう言ってますし、これは合法なプレゼントっす。お納めください」