落ちこぼれ悪魔の扱い方

「あー、それはあたしもそうかも」

高坂は納得したように頷いた。

「もしあたしが人生をやり直せるなら、まあモデルは辞めるわね。今考えてみたら、あんなにボロボロになってまで続けることなかったわ」

「本当に、よく耐えられたよな」

「あのときは意地でも続けてやるって思ってたのよ」

高坂は自虐的に笑った。


「本当に人生やり直したくなってきたわ。あたしも、生まれ変わるならあたしがいいな」

「陶芸家はいいのか?」

「うーん、捨てがたいわね。美大受ければあたしでもいけるのかしら」



そんな雑談をしているうちに、出口が見えてきた。

コリント風の装飾が施された荘厳な扉の前に、二つの人影がぼんやりと見える。


片方は白いスーツを着ていて頭は光球、明らかに上だ。


しかしもう一方は、黒いスーツを着ている茶髪の悪魔。

手には何故か真っ赤な薔薇の花束を抱えている。


高坂がピタッと足を止めた。


「律君……?」


黒いスーツの悪魔……灰田が顔を上げる。


彼は腕の中の花束を握りしめ、いつも通りの微笑を湛えて立っていた。