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高坂との別れの日。
与崎は本部の出口まで、高坂を見送りに行った。
この教会のような建物を出れば、高坂は晴れて解放となる。
「この建物の外って、どうなってるのかしらね」
「さあな。案外、人間の世界と変わんなかったりしてな」
長い廊下を歩きながら、与崎は隣を歩く高坂に向けて呟く。
高坂の表情は、まだ暗く沈んでいた。
「……。律君、やっぱり今日も来なかったわね」
灰田は、あれから一切姿を見せなかった。
大見得を切った手前、何事もなかったかのように顔を合わせることが難しいのは分かる。
「とはいえ、今日で最後なのにな。せめて一言挨拶ぐらいはあってもよさそうなのに」
「そんなこと言っても仕方ないわよ。当の本人がいないんだから」
高坂は悲しそうに首を振った。
あの薄情者。
逃げ続ける灰田に対し、底なしの怒りが湧いてくる。
与崎のしかつめらしい表情に気付くと、高坂はハッとしたようにその場しのぎの笑顔を見せた。
「そんなことより、もし生まれ変われるとしたら何になりたい? あたしは陶芸家かしら」
「……また、なんでそんな職業を」
「ろくろ回しって楽しそうじゃない? あたし一度やってみたかったのよね」

