しかしそれは違うのかもしれない。
依頼人を幸せにできたとき、与崎自身もまた幸せになれるのかもしれない。
悪魔と依頼人は、一心同体。
与崎は今までも、そういうスタンスでやってきたのだ。
「だから、ひとみ君もそういう依頼人に巡り会えば、意外とあっさり解放される気がする。
『落ちこぼれ悪魔』なんて、自分を卑下することはないと思うわ」
高坂の言葉は、アスピリンのように胸に染み渡ってきた。
与崎の本音が、導かれるように喉元からこみ上げる。
「……会えるかな、そんなやつに。正直自信ねえな」
「会えるわよ。あたしも祈ってるから」
高坂は手を組み、そっと目を瞑った。
「ひとみ君と律君が、早く誰かを幸せにできますように。……ってね」
目を開け、高坂はおどけたように手をぱっと離す。
応援してるから。離れてても、どこにいても。
はっきりとした言葉には出ていなくとも、与崎はそんなメッセージを確かに受け取った。
「……ありがとう」
与崎が呟くと、高坂は少し驚いたように与崎の顔を見つめ、それから向日葵のようにのびのびと笑った。
「その笑顔は、初めて見たわ」

