落ちこぼれ悪魔の扱い方

「でもお友だちのために自分の大切なものを差し出すなんて、健気な子じゃない? 本当にお友だちのことが大好きなんだってことが、痛いほど伝わってきたもの」

「まあ、ゲーム機と漫画は小学生男子のライフラインだもんな」

「ライフラインって。変な例え」


身を挺して救いたい人。

その男の子にとっては、その友だちがまさにそんな存在だったのだろう。


幼いのにどうしてと感心する反面、そこまで大切だと思える人がいることが同時に羨ましくもあった。


「後で見に行ったら、その子、風邪が治ったお友だちと楽しそうにサッカーしてたわ。あたしに気付いたら、満面の笑みで手を振ってくれてね。

その表情を見て、あたし、『この子を幸せにできた』って判断したの」


高坂は目を閉じてその瞬間に浸りながら、口元に柔らかな笑顔を浮かべた。

与崎からしてみれば、その高坂の表情こそが幸せそのものだったが。


『幸せになってください』

千鶴の儚げな訴えを思い出す。


……悪魔になった以上、そんな瞬間が来ることは皆無だと考えていた。