落ちこぼれ悪魔の扱い方

「それじゃ……」

「でもそれって、結局先延ばしにしてるだけよね」

高坂はキッと灰田を睨む。

元から強気な美貌も相まって、その威力は相当なものだった。

「あたし、前に進むって決めたの。いつまでも足踏みしてたって仕方ないわ」


灰田の笑顔が、みるみる崩れていく。

それでも恰好つけて残穢のような微笑を張り付ける灰田に、高坂は尖った声で言った。

「律君に『先輩は悪くない』って言ってもらえたあの日から、過去に囚われるのはやめようって、そう思えたのよ。

それなのに今さら引き留めるようなこと言わないで。

律君にはあたしのこと、最後まで応援していてほしいわ。大切な仲間だから」

灰田はまだ微笑を浮かべていたが、その頬は痛々しくひきつっていた。


「……重っ。何そんなムキになってんすか」

煽るような口ぶりで言うと、灰田は黙って立ち上がった。

「僕、もう戻りますね。しばらく先輩たちとは会いたくないっす。申し訳ないすけど」

大股で扉へと歩く灰田に、与崎は背後から声をかけた。