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話は逸れたが、与崎が執着することになった原因というのは、他ならぬ高坂だった。
ある日いつものように談話室で灰田と話していると、バンッと勢いよく扉を開けて高坂が入ってきた。
おしとやかな高坂にしては珍しい動作に、灰田は目を丸くしている。
高坂は与崎たちを見つけると、興奮気味で駆け寄ってきた。
「聞いて! 解放されることになったわ!」
その明るい大声に、部屋で話していた他の悪魔たちも高坂に注目する。
与崎と灰田は、驚きのあまり何も言えなかった。
高坂はハッとした顔で周りに会釈すると、幾分かトーンを落とした声で言う。
「今回の依頼人、やっと幸せにできたの。明後日の一時付で、あたし悪魔辞めるわ」
高坂は一息に話すと、今度は寂しげな微笑を唇に浮かべた。
「そういうわけで、二人ともお別れね。短い間だったけど、二人と過ごせて本当に楽しかっ……」
「そんな、急すぎません?」
高坂の言葉を遮り、灰田が愕然とした表情で呟いた。

