普段の飄々とした態度からは考えつかないような、泣きそうな声で灰田は言う。
「先輩、僕……無理かも」
与崎は思わず「はあ!?」と叫びそうになり、慌てて口を押さえる。
灰田は情けない声で、与崎の耳元に囁いた。
「腰が、抜けちゃって……立てない……」
何とか強く保っていた与崎の心は、その一言で完膚なまでに叩きのめされた。
何甘えたこと抜かしてんだ? こいつ。
灰田に対して、一瞬で憤怒が煮え立つ。
高坂は正面を向いたまま何も言わなかったが、その背は絶望のあまり脱力していた。
与崎が怒りのままに口を開こうとするより先に、与崎の足枷にバネ棒外しが突っ込まれた。
『だから、ひとみ先輩がやってください』
そうとでも言いたげに、灰田は必死の形相でピッキングを始める。
さっきの一回で慣れたのか、ほぼ無音で与崎の足枷は解錠された。
灰田は与崎の手枷の解錠に移る。
しかしそのとき、男が「よし」と小さく呟いた。
「六時一分前だ。そろそろ始めた方がいいな」
与崎は硬直した。
男が、ナイフを布の上部に突き刺す。
「先輩、僕……無理かも」
与崎は思わず「はあ!?」と叫びそうになり、慌てて口を押さえる。
灰田は情けない声で、与崎の耳元に囁いた。
「腰が、抜けちゃって……立てない……」
何とか強く保っていた与崎の心は、その一言で完膚なまでに叩きのめされた。
何甘えたこと抜かしてんだ? こいつ。
灰田に対して、一瞬で憤怒が煮え立つ。
高坂は正面を向いたまま何も言わなかったが、その背は絶望のあまり脱力していた。
与崎が怒りのままに口を開こうとするより先に、与崎の足枷にバネ棒外しが突っ込まれた。
『だから、ひとみ先輩がやってください』
そうとでも言いたげに、灰田は必死の形相でピッキングを始める。
さっきの一回で慣れたのか、ほぼ無音で与崎の足枷は解錠された。
灰田は与崎の手枷の解錠に移る。
しかしそのとき、男が「よし」と小さく呟いた。
「六時一分前だ。そろそろ始めた方がいいな」
与崎は硬直した。
男が、ナイフを布の上部に突き刺す。

