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ある日男に呼び出されると、テーブルの上には高級そうな腕時計が置いてあった。
「それは……」
思わず呟いた与崎に、男は平然と言う。
「新しい悪魔を召喚しようと思ってね。秒針を合わせていたのさ」
儀式は六時きっかりだからね、と男は続ける。
与崎は憂鬱な思いだった。
また不幸な悪魔が増えるのか。
やるせない思いで俯きかけたとき、テーブルの足の影になにか光るものを見つけた。
与崎は目を凝らす。
あれは……バネ棒外し?
確か腕時計のベルト交換に使う道具だ。
両端に細い金属の棒が付いた、ドライバーのような道具。
先端の棒は、ネクタイピンの針なんかよりも長い。
そっちに注意を向けすぎたせいか、与崎の手から酒のボトルがするっと滑り落ちた。
ガシャン、とガラスの割れる音。
気が付くと、床は酒で水浸しだった。
「おいおい、勘弁してくれよ」
「す、すみません」
男の呆れ声にひやりとしつつ、与崎は破片を拾い集めるために屈んだ。
目の前には、テーブルの足。
そこに解放の切符が転がっている。

