落ちこぼれ悪魔の扱い方

「この部屋に鏡が運び込まれるのは、あいつが新しい悪魔を呼び出す瞬間だけ。

そのときに何とかすれば逃げられるのかもしれないけど、多分無理よ。足枷があるもの」

彼女は背中まで伸びた長い黒髪をかきあげると、足元の鎖を指差す。

鎖の先はしっかりと壁に固定されていて、外すのは確かにどう足掻いても無理だろう。


「じゃあ、あいつが死ぬまで待たなきゃならねえのか……」

与崎は絶望した。


いや、死んでも解放されないかもしれない。

この場所が誰かに知られない限り。


……待てよ。悪魔って、そんな大っぴらになっていいのか? 


与崎は考えた。

もし発見者が警察に通報しようものなら、世間は大騒ぎになるだろう。

発見者に記憶処理が施され、自分たちは見放されるという可能性もある。


ということは。


「俺ら、一生このまま……?」

「一生ってことは、ないんじゃないすか?」

緊張感のない、どこか呑気な声が聞こえた。

声がした方向に目を向けると、女性の悪魔のさらに隣で、あぐらをかいていた茶髪の悪魔が手をひらひらと振っていた。