落ちこぼれ悪魔の扱い方

「歳は?」と悪魔は続けて訊いてくる。

「十七。高校二年生だよ」

「思ったより歳食ってんだな。行動が幼稚だから中学生くらいかと思ってた」

美弥は苦笑するしかなかった。


「ところで、あなたは? 何て名前?」

美弥が尋ねると、悪魔は急に黙り込んだ。

「悪魔、って呼ぶわけにもいかないでしょ。何かない? コードネームみたいなの」

「あいにく、そういうのはねえな。仕事仲間から『先輩』って呼ばれたりはするけど」

「先輩って呼ぶのは、なんか違うような……。生前の名前とかは? 覚えてない?」

悪魔はやや乱暴に湯飲みを置いた。

机に飛び散った雫をスーツの袖で拭い、素っ気なく言う。

「別に、名乗る義理はねえだろ。呼び名が欲しけりゃお前が適当に決めろ」

「私が名付け親ってこと? 困ったなあ、名前決めるの苦手なんだよね。友達が拾った猫を『アホ面』って命名して、殴り飛ばされたことあるくらい」

「それは名前じゃなくて単なる悪口じゃないか?」

悪魔はドン引きしたのか、声のトーンが少し低くなる。

「ま、まあ、そんなのじゃなければ、俺は本当に何でもいいからな。好きに呼べばいい」