落ちこぼれ悪魔の扱い方

千鶴に抱きしめられているのだと、一瞬遅れて理解した。

「本当に、色々あったのね。悪魔さんも」

いつかのような、蛇のように束縛するような抱擁ではない。

母が息子に送るようなそれに、与崎の心は激しく揺さぶられた。


「家族だからって、無理に好きになろうとしなくていい。好きだから、家族になろうとする。

……そういうものじゃない? 

だから悪魔さんも、家族を好きになれない自分を責めなくていいの。

愛する人は、自分で決めればいいんだから」


与崎の心を融かすには、それで十分だった。


温かい言葉をかけられたことも、優しく抱きしめられたことも、これが初めてだったから。


押さえ込んでいた涙が、堰を切ったようにあふれ出す。

千鶴の細い腕の中で、与崎は子どものようにしゃくり上げて泣いた。


千鶴はそれ以上何も言わず、時折労るように与崎の頭をそっと撫でた。



「……泣き止みました?」

しばらくしてから、千鶴はそう尋ねてきた。

与崎は曖昧に首を縦に振る。


ベールがあって良かった。

素顔だったら、今頃恥ずかしすぎて顔向けできなかった。