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三人目の依頼人は、与崎が悪魔になってから初めて素顔を見せた相手でもある。
曽崎千鶴と名乗るその依頼人は、大人しい雰囲気の主婦だった。
まだ三十路にもさしかかっていないだろうに、後ろで一つに束ねた長い髪には若白髪が目立つ。
いつもよれよれの服を着て、やつれた顔をしていた。
千鶴の姿を一目見たときから、与崎は依頼の内容を何となく察した。
というのも、彼女の顔と体は痛々しい紫の痣だらけだったからだ。
「当ててやろうか? お前の願い」
依頼人も三人目となると、だんだん杜撰さが際立ってくる。
意地悪な物言いにもかかわらず、不快感は全く露にせずに千鶴は「分かります?」と淑やかに微笑んだ。
「ああ。旦那か恋人か分からねえが、それ、配偶者間暴力ってやつだろ。暴力を振るってくる相手を殺してくれとか、どうせそんな願いだろ?」
「よく分かりましたね。しかも相手まで当てるなんて。さすがですね、悪魔さん」
千鶴は微笑みを崩さずに言う。
何度も頷き、本当に感心しているような様子だった。

