「俺をフッたあいつ、今いじめられてんだよな。俺がスタメン入った途端に、クラスの奴らからヘイト向けられてて笑った。
マジでいい気味っつーか、自業自得? 的な」
「……え」
間の抜けた声で呟いた与崎の面前に、彼はスマホを掲げる。
学校の廊下とおぼしき場所に呆然と立ち尽くしている、制服姿の女子高生の写真が映されていた。
頭から足元までずぶ濡れで、水を含んだ制服が肌に張りついている。
「トイレ入ってるときに、上から水ぶっかけられたんだって。『自業自得乙ー』とか言ってやろうかと思ったけど、俺優しいからさ。こうやって写真撮るだけで許してあげ……」
最後まで言い終わる前に、与崎は彼の胸ぐらを掴み上げた。
「は?」と彼は引きつった笑いを浮かべる。
「何してんだよ。離せよ」
「……」
「離せっつってんだろ!」
彼に頬を思いっきり殴られ、与崎は床に倒れた。
ビリビリとした痛みが頬に広がっていく。
顔を上げると、彼は人が変わったように冷酷な、氷点下の視線で与崎を見下ろしていた。
「ダッサ。お前、くそ弱えのな」
彼に唾を吐きかけられ、与崎はようやく我に返った。

