落ちこぼれ悪魔の扱い方

「だからといって、殺すのはやりすぎだ」

「は!? それじゃ俺が可哀想だろ!」

「俺が可哀想、か。ストレートな自己憐憫だ。

……だが、殺害は認めない。せめて今の彼氏と別れさせるってところで、どうだ?」

与崎はそう提案する。

彼はまだ不服そうだったが、「まあ、それなら」と了承してくれた。


その後経過観察に訪れると、彼は屈託のない笑顔で与崎を出迎えてくれた。

前の依頼人のように痩せこけた感じもなく、何なら前に会ったときよりも肌ツヤがいい。


病んだ雰囲気とは無縁。

彼はとても幸せそうに見えた。


……人を不幸にすることで、得られる幸せってのがあるのか。


逆説的な結果にモヤモヤしつつ、与崎は「最近どうだ?」とさりげなく聞いてみる。


「最近? おかげさまでめっちゃ調子いいわー」

「そうか。良かったな」


『依頼人の幸せ』は達成できたし、これも一つの方法だったのかもしれない。


心の中でそう自分に言い聞かせていると、彼は「あ、そういえば」と口の端をニヤッと上げた。