こんな子じゃなかったはずだ。
ちょっと寂しがり屋で内気なだけで、普通の子だったはずだ。
それがどうして、こんな大胆で脅迫的な束縛の魔女になってしまったのだ。
彼女の双眸に、底なし沼のような狂気が渦を巻く。
怖い。
この子が、ものすごく、どうしようもないほど、怖い。
蛇に睨まれたカエルのように、与崎の心はあっという間に縮み上がった。
そのまま徐々に相手のペースに呑まれそうになる心を何とか強く保ち、与崎は彼女を見据える。
与崎の視線を受け取った彼女は、余裕ありげに、そして挑発的ににっこりと微笑んだ。
「……さすがに、無理だ」
与崎は渇いた舌を必死に動かし、彼女に言った。
彼女の体が一瞬で硬直した。
耳をつんざくような金切り声が彼女のものだと気付くのに、少し時間がかかった。
普段の控えめないじらしい声とは、あまりにも違いすぎたからだ。
残酷なことを言ったのは分かってる。
彼女にとっては、死刑宣告のように辛い言葉であることも。
……でも、仕方ないんだ。
お願いだから首を絞めるその手を離してくれ。

