しかし、復讐を巡って対立して美弥に睨まれたとき、与崎の中での美弥の評価は少し変わった。
こいつは、自分の美貌を武器にする方法を知っている。
飄々とした態度にすっかり油断していたが、美弥は父を殺されている。
おまけに美弥自身も何度も殺されかけている。
美弥はそんな境遇の中で、周囲の好奇の目をかいくぐって生きてきた人間なのだ。
学校や親戚間で居心地の悪い思いをしたことは聞いていたが、もしかするとマスコミなんかにも追われていたのかもしれない。
だから、いくら翳りが外から隠されていてもその本質は闇だ。
今まで与崎を呼び出した人間と、そして与崎とも同じく、幸せへの渇望に満ち溢れた不穏な雰囲気。
苦労の先に何も見出だせず、法を破ることしか選べなかった存在。
「同じ轍は踏んでほしくなかったんだけど、な……」
与崎は力なく独り言を呟いた。
正直な話、十三人も契約者がいればだんだん人間に対して愛想も尽きてくる。
できるだけ真摯に向き合えるように心がけてはいるものの、それでもたまに『辞めてえ』と思ってしまうのは事実だ。
『あんたは、本当は私のことなんてどうでもいいんでしょ!? 契約が切れたら終了、私とあんたなんて所詮それだけの関係よ!』
……そんな風に罵ってきたのは、確か最初の依頼人だったか。

