「それより先輩。鞭打ちなんて、大丈夫なんすか?」
灰田は一転して心配そうな表情を浮かべる。
「鞭打ちって、アレっすよね。椅子に拘束されて、シルバーの鞭で背中バシバシ叩かれるってやつ。
こわっ。銀なんて、ちょっと触っただけで火傷かってくらい痛いのに。想像しただけで寒気してきましたよ」
灰田はわざとらしく自分の肩をさすった。
「先輩も銀の恐ろしさは知ってますよね、触ったことありますし。さすがの先輩も、そこまでして願いを取り消したりは……」
「いや、いい。執行はいつだ」
与崎が尋ねると、灰田は「は!?」と目をむいた。
「まさか、本気で罰受けるつもりすか!?」
「当たり前だろ」
与崎は言った。
鞭打ちなんて受けたことはないが、多分、想像を絶するほどの過酷さだろう。
前にうっかり銀を触ってしまったことがあるが、その瞬間ナイフで手を刺されたような激しい痛みに襲われたからだ。
銀の鞭で何度も打たれるなんて、悪魔にとっては拷問の域だ。
「先輩。そこまでする必要、あります?」
灰田の声で与崎は我に返った。

