落ちこぼれ悪魔の扱い方

ベールはしていない。

魔界では付けなくてもいいのだ。


「先輩が言ってた、願いの取り消しなんですけど。なんか、上の方で受理されたみたいっすよ」

「本当か!?」

思わず与崎は身を乗り出し、鉄格子を掴む。

灰田は勢いに押されたのか、体ごと退いた。

「ええ、まあ。……ただ、先輩にはそれ相応の罰が下るみたいすけど」

「謹慎か?」

「鞭打ちっすよ」

灰田は端正な顔をしかめる。

与崎の背筋に冷たいものが走ったが、顔には出さず「そうか」と短く呟いた。

「美弥には、もう伝えたのか?」

「いや、まだっすね。そもそもあれから一回しか呼び出してもらえてないんで」

「一回しか? どういうことだ、もう一週間くらい経ったぞ」

「僕嫌われてるんすかね。女の子の扱いには慣れてるつもりなんすけど」

灰田は困ったように頭を掻いた。

フワフワした猫っ毛に、与崎の目は自然と吸い寄せられる。


センター分けの茶髪に、優しげな垂れ目が特徴の甘いマスク。

低く落ち着いているのにどこか明るい声。

態度に真剣味がないのが玉にキズだが、人懐こく親しみやすい性格。


灰田は女性の依頼人に好かれやすいタイプだと、与崎は以前から聞いていた。