落ちこぼれ悪魔の扱い方

「親父の手帳に、悪魔を呼び出す方法が書かれてたの」

美弥は話を逸らした。

悪魔は動揺したような雰囲気を見せたが、すぐに「あ、そう」と投げやりな態度に戻った。

「で、早速試した。そういうわけだな」

「そういうわけです」

悪魔は黙って腕組みしていたが、仕切り直すように言った。

「まあいいや。呼び出されたからには、俺はお前の願い事を三つ叶えてやる。ものによっちゃ叶えられないのもあるが、まずはお前の願いを聞いてから……」

「えっ」

思わず話を遮ってしまった美弥に、悪魔は「何だよ」と不機嫌そうに食ってかかった。

「叶えられないのだってあるからな。例えば、金を無限に湧かせろとか……」

「いや、そうじゃなくて。代償とかいらないの?」

「代償?」

悪魔に訊き返され、美弥はたじたじとなりながら「ほら、あの、昔からあるじゃない?」と声を絞り出す。

「なんか、願いを叶える代わりに魂を奪いに来るとか、死んだ後地獄に落ちるとか……。そういうの、ないの?」

悪魔はしばし押し黙った後、納得したように頷いた。

「なるほど。やっぱり悪魔ってそういうイメージだよな。言っておくが、俺たちは人間を陥れる悪魔じゃねえ。むしろ、人間を『救う』っつうノルマを課せられた悪魔なんだ」

「人間を救う? どういうこと、それ」

「まあ、端的に言うと」と悪魔は咳払いした。