「美弥を幸せにするためなら、懲罰牢にだって地獄にだって、どこにだって行ってやる」
美弥は耳を疑った。
なんだって?
美弥のためになら、地獄にだって行く?
……そんなの。
「そんなの、ナシだよ!」
美弥は与崎に飛びついた。
そして灰田に掴まれているのとは反対の腕にしがみつく。
「与崎がそんな目に遭う必要ないじゃん!」
灰田の引きつった顔を尻目に、美弥は与崎を睨め上げた。
「それに、与崎なしで私だけ幸せになんてなれないよ。与崎、ほんと、分かってない。
置いて行かれるのがどれだけ辛いか、あんたには想像つかないでしょ!?」
与崎は喚く美弥を無感動な瞳で見ていた。
「……いつか別れるってことは、分かってるはずだよな?」
与崎が静かに語りかける。
毛を逆立てた猫を宥めるような、角のないなめらかな口調だった。
「それが少し早まっただけだ。大丈夫、俺もそんな酷い目には遭わされないだろうから」
「でも……」
「美弥」
与崎の表情がさらに険しくなる。
「お願いだ」
与崎の双眸に宿るギラつきを見ても、美弥は手を離すことができなかった。

