『助けて、与崎』
……言ったかもしれない。
何しろ、本当に死ぬと思っていたから。
藁にもすがる思いで与崎の名前を出していても、何ら不思議ではない。
美弥が固まっていると、与崎は「でも、それは」と代わりに弁解を始める。
「こいつの本当の願いじゃない。美弥を幸せにするために叶える願いは、もう決まってるんだ」
「願いは三つっすよ、先輩。特例なんてずるいじゃないすか」
灰田は相変わらず軽薄な口調で言った。
「ってなわけで、残り二つは僕が引き受けるんで。先輩は早く魔界帰っちゃいましょう。ね?」
灰田に腕を掴まれ、与崎は「いや、待て」と抗う。
「願いは残り三つだ。助けたから残り二つなんて、そんな揚げ足取りは認めない」
「だ、か、らー」と灰田は苛ついたように与崎の手を引っ張る。
「認めるとか認めないとか、そんなのは先輩が決めることじゃないんすよ。異論があるなら上に直談判してもらわないと……」
「分かった」
与崎は重々しく頷いた。
その双眸は強い光に満ちている。

