しばらくの間どちらも何も言わなかったが、早くもお茶を飲み終えた悪魔が尋ねた。
「お前は、なんで俺を呼び出したんだ?」
美弥は視線を泳がせた。
どこまで言って良いものか。
「まあ、興味本位? 的な。親父がオカルト雑誌記者だったもので」
目の前にいる悪魔に経緯の一部を話すと、彼は「ふうん」と気のない返事をした。
「父親のこと、親父って呼んでんの?」
「まあ、ね。よく怒られてはいたけど」
『親父って呼ぶな!』と叱られた記憶が甦る。
しかしその記憶も雨粒のように弾け、一瞬で消えてしまった。
「父親と、仲良いんだな」
悪魔は感慨深そうに呟いた。
美弥は否定も肯定もできない。覚えていないから。

