落ちこぼれ悪魔の扱い方


__________


玄関を開けると、与崎は靴を脱いですぐに自分の部屋へ入ろうとする。

「お昼どうする?」

美弥が声をかけると、与崎は廊下の奥から首を伸ばして美弥を見た。

「任せる」

それだけ言い残し、与崎は自室へと消えていった。


無愛想で言葉が少ない、いつも通りの与崎だ。

美弥はほんのちょっぴり安心した。


さて、お昼をどうするか。


それよりまず部屋着に着替えようと思い、美弥は自分の部屋のドアを開けた。

「!!!」

美弥は思わず息を詰まらせる。


部屋の中央に、長身の男が立っていたのだ。


一瞬『真珠の環』の刺客かと身構えたが、よく見るとそいつは顔をベールで覆っている。

服装も黒いスーツに、黒いネクタイ。既視感しかない。


「悪魔……?」


美弥の問いかけに、男は喉を低く鳴らす。

笑っているようだ。


「そ。驚かせてごめんね?」

悪魔は軽く答えた。

初対面の与崎を想起させるような、甘い声。


警戒する美弥をよそに、悪魔は「ここまで来るの、大変だったんだよ?」とまた低く笑う。

それから全身鏡の前に移動し、その表面を指先でちょいちょいとつついた。