でもそれだけじゃない。
日常のふとした拍子に見せる穏やかな眼差しや、美弥の軽口に呆れながら突っ込むときの口調、照れると赤くなる頬……。
一緒に生活する中で、些細だけど好きな部分を何度も発見した。
いずれ離れることは決まっている。
それは仕方ない。
しかし美弥は、少しでもそのときを遅らせていたかった。
「それに、何?」
与崎が不思議そうに尋ねてくる。美弥は「何でもない」と歌うように呟いた。
「そうか。……あのさ、美弥」
「何? 指切りならやらないけど」
「そうじゃなくて」
与崎はしばらく言い淀み、散々美弥を焦らしてから口を開いた。
「お前、今日誕生日だろ?」
「うん? まあ。そうだけど」
与崎はズボンのポケットをまさぐり、小さな紙袋を取り出した。
表面に博物館のマークが描かれている。
ということは、博物館のお土産売り場で買ったのか。
そのまま無言で紙袋を押し付けられ、美弥は受け取ってそっと中を覗く。
「ネックレス?」
「そう」
「いつの間に買ってたの?」
「帰る前にお前がトイレ行ってたから、その間に。昼飯代使い込んで悪かったな」
日常のふとした拍子に見せる穏やかな眼差しや、美弥の軽口に呆れながら突っ込むときの口調、照れると赤くなる頬……。
一緒に生活する中で、些細だけど好きな部分を何度も発見した。
いずれ離れることは決まっている。
それは仕方ない。
しかし美弥は、少しでもそのときを遅らせていたかった。
「それに、何?」
与崎が不思議そうに尋ねてくる。美弥は「何でもない」と歌うように呟いた。
「そうか。……あのさ、美弥」
「何? 指切りならやらないけど」
「そうじゃなくて」
与崎はしばらく言い淀み、散々美弥を焦らしてから口を開いた。
「お前、今日誕生日だろ?」
「うん? まあ。そうだけど」
与崎はズボンのポケットをまさぐり、小さな紙袋を取り出した。
表面に博物館のマークが描かれている。
ということは、博物館のお土産売り場で買ったのか。
そのまま無言で紙袋を押し付けられ、美弥は受け取ってそっと中を覗く。
「ネックレス?」
「そう」
「いつの間に買ってたの?」
「帰る前にお前がトイレ行ってたから、その間に。昼飯代使い込んで悪かったな」

