「だから見放さないでね」
美弥の真剣な表情を見るなり、失礼なことに与崎は噴き出した。
「見放されることはあっても、見放すことはねえよ」
与崎はそう言ってゲラゲラ笑う。
嘘には見えなかった。
美弥は頭にハテナマークを浮かべたままきょとんとする。
じゃあ、記念にって何?
美弥の疑問を見抜いたのか、与崎は「だってお前、相当復讐を急いでるみたいだったから」と笑いすぎて目元に浮かんだ涙を拭いながら言った。
「やっぱり今週中とかには決行するんだろ? だとしたら本当にお別れだなと思って」
「あー、そういうことね」
美弥は頷いた。
よかった、変に勘ぐりすぎていただけだった。
「それならまあ……ゆっくりでもいいよ。変に先走って失敗するよりは断然いいし。それに」
与崎ともう少し一緒にいてもいいかな、と思って。
さすがに口には出せなかったが、美弥は今までになくこの悪魔に惹かれていた。
海から助けてくれたことや、看病してくれたこと。
父のことを考え直すきっかけになってくれたこと。
感謝すべきことはたくさんある。

