落ちこぼれ悪魔の扱い方

深く関わっていた人間は咲子くらいしかいなかったが、その咲子すらも『自分と同じくらい大切』とは思えなかった。


いつも自分の方が圧倒的に大切。


咲子がいないとダメ、ってのは、どこまで本気だったのだろう。

美弥は咲子や父といった他者を、本当に真剣に考えていたのだろうか。


「でも今は」

でも今は。

「自分の方が大切なことには変わりはないんだけど、親父のこともかけがえのない大切な存在だって、そう思えてきた。

……少なくとも、今までみたいに恨んだりはしてない」

美弥は断言した。

笑顔は浮かべない。ここはそういう場面じゃない。


与崎は美弥を厳しい表情で見ていたが、美弥の言葉を聞くとゆっくりと頷いた。

「今のお前なら、多分仇を討ちにいける。多分、俺がいなくても」

美弥はぱちぱちと瞬きをした。

俺がいなくても、という意味がすぐには呑み込めなかったからだ。


「……そっか、一人でもってことか」

「そうだ。初めて会ったときよりも、だいぶ覚悟が固まってきてるみたいだし」