落ちこぼれ悪魔の扱い方

美弥もその横顔をふと目で追いかけ、「あっ」と声を上げそうになった。


与崎は美弥に見つめられていることも知らず、一心に化石を眺め続けている。

無邪気な少年のように、感動で顔を紅潮させながら。


……親父に似てる。

知的好奇心に飾られた、その顔が。


父もよくこんな顔をしていた。

仕事だけではなく普段の生活の中でも、だ。


真っ先に思い出したのは、美弥がバレンタインにお菓子を作っていたときのことだ。

多分、小学生の頃。


『何やってんだ?』

そう言って近寄ってきた父は、美弥が持っているボウルの中身を訝しげに見つめた。


『チョコレートか』

『そう。友チョコ。バレンタインだから、咲子にあげるの』

父はじっとボウルを見ていたが、やがて面白そうに口角を上げた。

『お前、お菓子とか作れたのか。ちょっと見学してもいいか?』

『お好きにどうぞ』

美弥が適当に答えると、父は興味深そうに美弥の手元を覗き込んでいた。


凝視されながらではとてもやりづらかったが、許可した手前邪魔だとは言えず、美弥は父の視線の中でひたすら手を動かし続けた。