いよいよ与崎が見たがっていた恐竜のコーナーまで来た。
展示室の中央にどーんとそびえる巨大な化石を見て、与崎の双眸は密やかに輝いていた。
「ティラノサウルスか。本物なのかな?」
美弥はそう言って説明文を覗き込む。
レプリカだった。
「レプリカだって」
「別にいいだろ」
与崎は化石に釘付けになったまま呟く。
完全に魅入られているらしい。
美弥も化石に目を向けた。
確かに荘厳な感じがする。
鋭利に生え揃ったギザギザの歯に、不気味に落ち窪んだ目の周りの骨。
死してなお健在の威圧感……いや、死んだから威圧感があるのか。
よく分からない。
ごつごつした表面の骨が並んだ化石。
結局生物は死んだらこうなるのだな、と美弥は悟る。
白い風船みたいに醜く膨れた父の死体も、葬儀が終わる頃にはバラバラの骨になっていた。
ティラノサウルスとそう変わらない。
遺骨がパズルみたいに並べられるか、壺の中に収まるかの違いだ。
私もいずれ……と考えかけて、美弥はふと与崎のことに思い当たった。

