美弥は地球儀の側に展示されている、黒い音符のような石を何となく見つめる。
ペレーの涙、という石らしい。
地学か何かの授業で聞いたことはあったが、よく覚えていない。
確か、火山関係の石だったと思う。
石から与崎の顔へと視線を戻す。
海に落ちて与崎に助けられたことを急に思い出した。
ずぶ濡れの与崎の顔や髪からは水滴がぽたぽたと垂れていて、涙なのか海水なのかは分からなかった。
もし与崎の涙が黒かったら一発で分かったのにな、不気味だけど。
……なんて、くだらない妄想をしてみる。
真っ黒な悪魔の制服に身を包んだ与崎。
その真っ黒な瞳から、ぼろっと黒い涙が宝石のように流れる。
確かに不気味だけど、蠱惑的だ。
「何ぼーっとしてんだ?」
与崎に声をかけられ、美弥はハッと我に返った。
気持ち悪い想像をしていましたとは素直に言えず、美弥は曖昧な笑みを浮かべる。
「ったく、いつまで俺の顔見てんだよ。そろそろ行くぞ」
「あ、うん。見惚れてたわけじゃないからね」
「そんなん言われるまでもねえわ」
与崎に促され、美弥はようやく歩き始めた。

