博物館の入り口でチケットを渡すと、美弥は館内マップも見ずに館内を見て回り始めた。
土曜日は四時頃には閉館してしまうらしいが、問題ない。
化石と標本が展示してあるだけの小さな博物館だから、一日で十分回れる。
美弥は与崎を見た。
いつも通りのように見えて、そわそわしているのが丸分かりだ。
「恐竜はもうちょい先だよ」
「は? 別に待ちきれないわけじゃねえから」
与崎は慌てて答える。
そして取り繕うように展示してある大きな地球儀に目を移した。
巨大な地球儀を見ていると、与崎がこの地球上から来た存在ではないことが不思議に思えてくる。
正確に言うと、一度地球上から消えた後別の場所で活動している存在、といった感じか。
「そういえば、与崎が普段暮らしてる場所……魔界、だっけ? そこってどんなところなの?」
「どんなところって?」
与崎がおうむ返しに尋ねる。
「そりゃ地形とか、建物はあるのかとか、気候はどんな感じなのかとか……」
与崎は顎に手を当てて少し考えたが、短く答えた。

