落ちこぼれ悪魔の扱い方

「もしかして新聞とってないのか?」

「いやいや、そっちじゃなくて。なんでわざわざ破片集めといてくれたの?」

美弥の問いに、悪魔は「なんでって……」と呆れたように答えた。

「お前が踏んだら怪我するだろ」

不覚だった。

「悪魔さん」

「何だよ」

「ありがとう。気が利くね」

美弥はそう言って微笑んだが、悪魔は「え? ……ああ、うん」と煮え切らない返事をして顔を背けてしまった。


軽薄でキザだとばかり思っていたが、思っていたより真面目なのかもしれない。


美弥の好感の眼差しに耐えかねたのか、悪魔はばつが悪そうに「じゃあ俺、先リビングお邪魔してるから」と言って立ち上がった。

「待って。やっぱり私も行く」

美弥が後を追おうとすると、悪魔は急に「あ、それと」と言って立ち止まった。

悪魔の背に顔をぶつけそうになり、美弥は慌てて仰け反る。

「呼び出したからには分かっているだろうが、俺が叶えられる願いは三つだけだ」

悪魔は振り向いてぐっと顔を近づけると、美弥の顎に手を添えて囁いた。

「だからお前もよく考えろよ? 後で泣きを見ないように、な」

こいつ、まだ懲りてないな。


美弥は呆れた表情を敢えて隠さず、小さな声で囁き返した。

「とりあえず、お茶でも淹れましょうか」