電車が大きく揺れ、同級生が「わっ」と体勢を崩す。
与崎は同級生を見ると驚いたように手を差し伸べたが、同級生は慣れっこなのか与崎の手を掴むこともせずに立っている。
同級生に不思議そうな表情で見返され、与崎は何も言わず手をすっと引っ込めた。
電車が徐々に減速を始める。駅が近い。
「じゃ、私たちはこれで」
「うん、またね! 良い誕生日になるといいね!」
美弥は同級生に軽く手を振ると、与崎を引き連れてドアの付近まで急いだ。
休日の昼間ということもあって、街中はそれなりに賑わっていた。
博物館前の道路を歩く子連れやカップルなんかを目で追いながら、美弥は口元を綻ばせる。
自分もこの平穏な雰囲気を構成しているということだけで、何となく気分が踊る。
博物館の壮大な外観が見えてくると、美弥はさらにワクワクしてきた。
意味もなく小走りになったり、スキップもどきの足どりになったり、落ち着きがなくなってくる。
「やめろよ、恥ずかしい」
与崎は口ではそう言いつつも、美弥を見る目は暖かかった。

