隣町までは電車で二駅。
もちろん乗り換えなどないので難しくはないはずなのだが、早速美弥は関門にぶち当たった。
与崎が自動改札を通れないのだ。
「……なあ美弥、あれって新手の罠か? 人間以外が通ったら挟まれたりするのか?」
切符を握りしめたまま、与崎は改札の遥か手前で怯えている。
さっきエラーを起こして通れなかった人を見てから、与崎はずっとこの調子だ。
「そんなわけないでしょ。何、改札通ったことないの?」
「うちの最寄り駅ではまだ駅員が切符切ってたぞ」
「田舎か!」
言い争っている二人を、通りすがりの人たちが白い目で見ている。
美弥は顔から火が出る思いで与崎をなだめすかし、何とか改札をくぐらせた。
電車に乗って一息つくと、今度は与崎の服装が気になってくる。
白いシャツにジーンズ、という出で立ちは悪くはないと思うが、その黒い手袋はどうしても外せないのだろうか。
「そういえば、ベールはいいの?」
そう訊くと、与崎はきょとんとしていた。
相変わらず頬に貼られているガーゼから視線を逸らしつつ、美弥は言う。

