落ちこぼれ悪魔の扱い方

「あの数直線みたいなの何?」

美弥が尋ねると、与崎は「悪魔用の暗号」とそっけなく答える。


「この件はもういいだろ。俺も支度するから、出てってくれ」

与崎に追い払われ、美弥は渋々部屋を出る。

背後でドアの閉まる音がしたのを確認して、美弥は小さく呟いた。

「……なんかあったのかな」


例の手紙は、なんとなく不穏な雰囲気をまとっている気がした。

不吉なような、危険なような、そんな香りがする。


まさか、一足先に美弥を徴用しようとしているのでは?

真名川に直接手を下した場合、美弥は死んだ後悪魔にならなければいけない。


……だから今のうちから美弥を悪魔として働かせて、仕事に慣れさせておくという魂胆かも。


浮かんだ最悪な考えを、美弥は「いやいやいや」と頭を振ってかき消した。

徴用だったら、与崎はそうと教えてくれるだろう。

少なくとも黙って投げ捨てたりはしない、はず。


きっと自分は、『魔界からの手紙』というだけで過敏になっているのだ。

黒い封筒に赤い封蝋なんて、いかにも物々しい感じがするし。


美弥はそう自分を納得させ、化粧をするために自室へと踵を返した。