落ちこぼれ悪魔の扱い方

「ところで、なんで博物館にしたの?」

苦し紛れに訊くと、咲子は「それはね」と誇らしげに言う。

「小学校の遠足で来たとき、美弥ちゃん、すごく楽しそうにしてたから。『お父さんと来たことがある』って、嬉しそうに私に話してくれたよ」

美弥は笑顔をつくるも忘れ、呆然とした。


親父と来たことがあるって?

美弥は慌てて、思い出したばかりの父の記憶を探る。


それらしい記憶はあったが、おぼろげにしか覚えていない。

何年前の記憶か知らないが、幼少期の思い出なんてそんなものだろう。


「あんまり覚えてないかな」と美弥は何とか答えた。

「まあでも、行ってみたら思い出すかもしれないし。ありがたくもらうね、このチケット」

チケットを自分の鞄にしまいながら、美弥は咲子の喜色満面の表情を一瞥する。

美弥の役に立てたことを、純粋に喜んでいるような笑顔だった。


咲子は美弥のことが大好き。

奢りとかではなくて、本当にそうなのだ。


やっぱり咲子がいないとダメだなと、痛いほど思い知らされた。