落ちこぼれ悪魔の扱い方

なんであんなことを叫んだのかは自分でも分からない。

『真珠の環』に対する皮肉かもしれないし、恰好つけていただけかもしれない。


しかし、与崎に感謝していたのは確かだ。

それは嘘でも見栄でもない。


「お前がそうやって叫んでくれたとき、なんか救われた気がした」

与崎は目を開け、美弥に笑いかける。

今度は冷笑や嘲笑の類いではなかった。


「今まで、上っ面のお礼と罵声ばっかり受けてたから。だから大胆に思いのままに、お前が感謝を叫んでくれたのが新鮮だったのかもしれない」

与崎は感嘆の息を吐きながら告げる。

「お前、やっぱりすごいよ……」

美弥は何だかよく分からなかった。

が、美弥を誤解したまま褒めているわけではなさそうだ。


「私、前に親父のこと嫌いって話したよね」

美弥は言った。


いよいよ会話の方向がおかしくなってきたが、与崎はそこに言及せず素直に耳を傾けてくれる。

「嫌いなのは事実なんだけど、でも本心から嫌いなのかって言われたら……肯定できないかも」

与崎に語りかけてはいるが、本当にこの言葉を伝えたいのは美弥自身に対してだ。