落ちこぼれ悪魔の扱い方

「でもお前も、結局は自分のためだったよな」

美弥が口を開くより先に、「そんなに気にしなくてもいい」と与崎が素早く言った。

「お前が父親のためって見栄張ってたのはショックだったけど、勝手に期待してた俺も悪いから」


与崎は悪くない、なんて当たり前のことは言うまでもない。

未練がましく言い訳することはしない。

美弥が出来心で吐いたちょっとした嘘は、与崎にとっては死活問題だったのだ。


岩のように黙る美弥を見て、与崎は小さく自嘲的な笑みを浮かべる。

「でも俺、お前のこと嫌いになれねえんだわ」

「……なんで?」

美弥が不思議に思って尋ねると、与崎はそっと目を閉じた。

遠い日の回想にでも浸っているのだろうか。


「私を助けてくれたのは悪魔でした、だったか」

「え?」

「お前が公園で叫んでた言葉」

美弥は必死に記憶を呼び起こす。


……ああ、あのときのことか。

神社の中の公園で、与崎と話をしたときだ。

美弥は確か、神社に向けて大声で叫んだ気がする。

『私を救ってくれたのは神様でも仏様でもなく、悪魔だった』ということを。