与崎の瞳はうす黒く輝いていた。
何かを期待するかのような光。
きっと、まだ信じようとしてくれているのだろう。
美弥は父のために復讐しようとする、殊勝な良いやつだと。
その気持ちは嬉しかったが、美弥は断腸の思いで首を振った。
「ごめん。親父は大切な家族だったって思い出したんだけど……。やっぱり、自分より大切にはできない」
与崎は一瞬虚脱したような色を見せたが、すぐに無表情になる。
取り繕われたその顔は能面のようだった。
どういう感情だろう。
失望か、同情か。
いずれにせよ、喜ばしい感情でないのは確かだ。
与崎はゆっくりと口を開いた。
「……俺が今まで契約してきた人間って、お前で十三人目なんだ」
思ったよりも冷静な声に、美弥はほんの少し戸惑う。
「その依頼人には全員、共通点がある。何だか分かるか?」
唐突な質問に、美弥は今度こそ本気で戸惑った。
一体自分は、何の話をされているのだろう。
美弥は「どういうこと?」と質問を質問で返そうとして、それができないことに気付いた。
与崎の真っ直ぐな目に射抜かれ、話の腰を折ることがどうしてもできない。

