落ちこぼれ悪魔の扱い方

『話し合った方がいい』と咲子に言われ、自分でもそれは理解しているはずなのに、ひたすら先延ばしにしていた。

煮え切らない態度と曖昧な笑顔で誤魔化し通していた。


美弥は与崎に対して不誠実なことを、呼び出してからずっと続けていることになる。

ここまで世話してもらっておいて。


「親父の記憶、全部戻ってきたの」

気が付けば、美弥はそう呟いていた。

与崎が弾かれたように美弥を見つめる。


「本当か?」

「そう。夢の中で親父に首絞められて、起きたら全部思い出してた」

美弥はつらつらと述べる。

「そしたら情報過多でめっちゃ頭痛くなったの。経験したことないくらい痛かったから死ぬんじゃないかって怖くなって、だんだん息できなくなってきて、玄関で行きだおれてた」


与崎はその場に座り直した。

今まではあぐらをかいて座っていたが、正座がちょっと崩れたような形になる。

「お前、父親のこと思い出してどうだった?」

真剣な表情で尋ねられ、美弥は「どうって……」と目線を彷徨わせる。

「頭痛かったけど」

「そうじゃなくて、他になんかあるだろ。例えば……」

与崎は心なしか、すがるような口調になる。


「復讐の動機が変わった、とか」