ジュースを飲み干してから十分ほど経った頃、与崎がお盆を手に部屋へとやって来た。
「はい、お粥」
そう言ってサイドテーブルの上のものをどかし、お盆を置く。
美弥はお盆に置かれたお粥を見つめた。
申し訳程度に鮭フレークが載せられた、本当にただのお粥。
それでも空っぽの胃袋にとってはごちそうだった。
「早く食って薬飲め」
そう言ってスプーンを差し出され、美弥は「?」と顔を上げる。
「食べさせてくれないの?」
「自分で食え」
今度はにべもなく断られた。
「……いただきます」
美弥は不服ながらもスプーンを受け取り、手を合わせて食べ始める。
出来立てにしてはそれほど熱くなかった。
久方ぶりの食事が、枯渇した五臓六腑に染みわたる。
「どう?」
与崎に尋ねられ、美弥は素直に「美味しいよ」と答える。
与崎はこわばった表情を少し和らげた。
「夕飯もお願いしていい?」
「いいけど、そんな凝ったものつくれねえよ?」
「全然いいから」
美弥が言うと、与崎はちょっと嬉しそうに笑った。

