落ちこぼれ悪魔の扱い方

「今なんつった? 殴られて気絶?」

「そう。誘拐するときに、後ろから思いっきり」

美弥が言うと、与崎は「ちょっと待ってろ」と言って部屋を出ていく。


戻ってきたときには、氷嚢を手に持っていた。

「冷やしとけ」

言葉少なにそう言われ、美弥はありがたく氷嚢を受け取る。

後頭部に当てると、じんわりとした冷たさが熱っぽい頭に広がった。

さっきのゴタゴタで冷却シートも剥がれていたし、結構助かる。

「他は?」

「あ、そういえば……ここも殴られたんだった」

美弥は片手で寝間着をめくる。

与崎は目を逸らしかけたが、美弥の腹部が露になると「ひっ」と小さく息を飲んだ。


美弥の腹部には、拳の形が赤くくっきりとついていた。

与崎の反応も分かる。

自慢の白い肌に残された朱色の殴打痕は、我ながら結構痛々しいと思う。


「お前、これ……」

与崎は言葉が続かないようだった。

美弥の肌を凝視したまま、圧倒されたように息を吐く。

「……信じらんねえ。酷いことするやつもいるんだな」

与崎の声は掠れ気味で、おまけに震えていた。怒っているらしい。


私のために怒ってくれてるのか。


それはまあ、満更でもないな、と美弥は心の中で呟いた。

普通に頭と腹痛いけど。