「美弥?」
ドアの向こうに立っていたのは、与崎だった。
ベールもしないパーカー姿で、手にはレジ袋を提げている。
頬の火傷痕だけはガーゼで隠されていた。
どこ行ってたの、と訊こうとしたが、出たのは異様な呼吸音だけだった。
「ヒュッ……かはっ」
与崎が目を細めて近寄ってくる。
そして美弥の正面にしゃがみ、心配そうに目線を合わせてきた。
「美弥? おい、どうした?」
与崎に肩を叩かれ、美弥は何とか言葉を絞り出す。
「息、吸えな……」
言えたのはそこまでだった。
再び頭痛が強くなり、言葉が途切れる。
頭を押さえ、ぜえぜえと荒い呼吸を繰り返していると、与崎は納得したように頷いた。
「あー、過呼吸起こしちゃったか」
与崎は玄関に上がり、美弥の隣に腰を下ろす。
「辛いな」
そう言って背中を撫でられると、少し気分が落ち着いた。
頭痛もほんのちょっとだけ和らぐ。
しかし依然として、呼吸は苦しいままだ。
「美弥、まず深呼吸しよう」
与崎の言葉に、美弥は大人しく従う。
ゆっくりとしたペースで胸いっぱいに空気を吸い込み、吐き出した。

