落ちこぼれ悪魔の扱い方

美弥はドアを開け、廊下へと転がり出た。

体勢もろくに立て直せないまま、危険な足どりでリビングへと走る。


リビングのドアを開けると、そこはもぬけの殻だった。

慌てて父の部屋やキッチン、バスルームまで全て見回ったが、どこにもいない。

まさか、と思い玄関へ向かうと、与崎の革靴がなくなっていた。


……出ていった?


頭が真っ白になった。

さっき見つめていた天井のように。


いや、待って、そんなはずは。

独りにしないって言ってたじゃないか。

約束したじゃないか。


「なんで? なんでいないの?」

疑問を口にしても、答えてくれる人は誰もいない。

その間にも、美弥の頭は激しく痛む。

大量の記憶を一度に受け入れられず、頭のキャパシティが限界を迎える。

しかしそれでも容赦なく、情報の複合体は襲いかかってくる。


「痛い、やだ、本当に死んじゃう」


このままでは、脳味噌が破壊されるのではないか。

美弥はパニックになった。


「死にたくない、死にたくない、死にたく……」

緊迫した呟きを遮るように、喉の奥がヒュッと小さく鳴る。


何これ、息が……。