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美弥は飛び起きた。
部屋の中は真昼の日差しに満ちていて、夢の中の真っ暗闇とは対照的だ。
慌てて首に手をやったが、特に違和感はない。
念のため手鏡を取り出し、シャツの襟を引っ張って首元を見る。
手形がくっきり付いている、というようなホラー展開もなく、汗でびしょ濡れになっているだけだった。
ただの悪い夢だったようだ。
「本当……最悪」
美弥はサイドテーブルに鏡を置き、天井を睨む。
悪夢に加えて、倦怠感と熱もまだ健在。
踏んだり蹴ったりとはこのことか。
美弥は白紙のような天井を見ながら、夢の詳しい内容を思い返す。
父に罵られ、首を絞められ、自分を思い出してくれと懇願される。
最近見た夢の中でぶっちぎりのワースト。
首を絞める手の感触が、生々しく甦ってきた。
それに父の言葉。
最後、なんて言ってたっけ……。
『思い出してくれ、全てを』
突然、狂的な低い声が頭の中に反響した。
その瞬間美弥は激しい頭痛に襲われる。
「……!?」
美弥は咄嗟に頭を押さえる。
しかし頭痛は引くどころか、いっそう強まるばかりだ。

