落ちこぼれ悪魔の扱い方


寄り添うような言葉に、美弥は思わず耳を疑った。

父からそんな言葉が聞けるとは、夢にも思っていなかった。

むしろ、『絶対自分は正しい』と主張してくるのではないかとすら思っていたのに。


「謝るようなことじゃ……」

「いや、謝らせてほしい。大切な娘に、寂しい思いをさせてしまったんだから」

父は言う。

芝居のような不自然な台詞だが、その口調には美弥への愛情があふれている……ように感じられた。


美弥は急に、父を憎んでいた自分が恥ずかしくなった。

もちろん美弥だって、本気で父が悪いと思っていたわけじゃない。

『真珠の環』だけに飽きたらず、恨みが父にまで飛び火しただけ。

……まあ、どちらにせよ自己中心的なことに変わりはない。


なんだか目の前がぼやけてきた。

「なんだ美弥、泣いてるのか?」

霞んだ鏡の向こう側。

美弥からは見えない場所で、父が茶化したように笑っている。

「まだ泣いてはない。泣きそうだけど。……勘違いしないでよね、親父」

「親父って呼ぶな」

父は「全くお前は……」と呆れる。

でも少し嬉しそうだな、と美弥は思った。


「記憶失ってるくせに、そんなことは覚えてたんだな」